2ntブログ

社会人で初めて同人誌を作ってみようという方へのアドバイスとか

  • 2019/07/28(日) 22:28:02

(※社会人+初めてデジタルで同人誌を作ってみようという方向け)
突然ですが、同人誌を作ってみませんか!

○○ちゃんと△△ちゃんがあんな事やこんな事をしてる本を読みたいな~と思ったら、自分で作ってしまおうというのが行動理由です!

と言っても、妄想を実際に本にする時にどこから手を付けたら良いのやらとか、社会人では時間が取りづらい等となりがちです。

そこで我流かつ超ウルトラ長い文章ですが、仕事を継続しつつも作業が出来るように、
以下にデジタルで作業する時の流れを書き連ねてみますので、ご参考になれば幸いです!
大きく3つのパートで書いていきますので、気になる箇所だけ掻い摘んでご覧頂ければと思います。
(※画力や漫画技術についてはここでは取り扱わないので、あらかじめご了承下さい)

■作業工程の一覧について
■原稿の描き方、用紙、サイズ等について
■作業スケジュールの立て方について

【でもその前に最優先事項】
・仕事が順調であり、1ヶ月くらい先のスケジュールも立てやすい状態である事
→さすがに常に残業ありの状態では出来ない&長期間作業が出来ないとモチベにも影響するので、仕事が安定している時が狙い目です。

---------------

■作業工程の一覧について
作業を始めようとして、準備無しでいざ白紙のページの前に立っても普通はペンが進まないと思います。
そのため、数学で言う所の「因数分解」で本が出来るまでの作業を細かく分解し、小さな単位として着手し易くします。

私は作業全体は以下の8つに分けてまして、それぞれを以下に記載します。番号順に作業を進めるイメージです。
これらの作業を1つずつ完了させてから次工程に進むイメージで、各工程が終わるごとに全ファイルのバックアップを残します。
(※【本文=表紙以外の本の中身】、【表紙=表と裏の表紙】とします。)


 1.本文:プロット【重要ポイント】

 →ペンを握らない作業。
  メモ帳上でキャラ同士のセリフのやり取りや、何となくの情景が中心のストーリーを文字だけで書きます。
  ここがセリフの最終決定の場ではなく仮の案となるため、自分だけが分かれば良いです。

  ただし、この時点である程度の全体ページ数、セリフ&展開によってページごとの境界、コマ割りを脳内で決めます。 
  最も本にしたいメインの内容や、最初の導入部、ラストの締め等を先に書いて、前後を肉付けしていくのが良いと思います。  
  これを書く事により脳内妄想を形として明確にし、以降の作業への取っ掛かりとします。
  (★時間がある時にプロットのメモ帳だけ先にいくつか作っておいて、今後のイベントで使用するのも良いと思います。)

 2.本文:ネーム【重要ポイント】

 →ここからがペンを握ります。白紙のページに大まかなコマ割りとキャラの感じを描きます。
  プロットに忠実に従う必要は無く、セリフは書き直したり、このコマは次ページにしたりとノリで微調整しつつプロットも修正します。
  ページごとのコマ割り被りや、見せるための構図を考えるのが大変ですが、以降の作業に影響するので頑張り所です。

 3.本文:下書き

 →ネームに沿って下書きをします。ここが最もクリエイティブな作業で一番時間が掛かると思います。
  私はセリフ用のフキダシをここに含めずにやってますが、セリフを入れる場所が決まっている時はフキダシを含めても良いと思います。(※以下に両方の場合を記載)
  ・フキダシが下書き&清書に含まれる
   メリット :フキダシで隠れる部分を描く必要が無い
   デメリット:後々でセリフの改変が難しくなる

  ・フキダシが下書き&清書に含まれない
   メリット :後々でセリフの位置や大きさを自在に調節できる
   デメリット:フキダシで隠れる部分も描く必要がある


 4.本文:清書

 →本文の清書を決めます。下書きはアバウト気味でもOKですが、ここではしっかり主線を描きます。
  白黒原稿を描く時、背景に薄いグリーンのレイヤーを設けておくと、仕事後の作業時でも目に優しくてオススメです! 


 5.本文:トーン塗り

 →トーン or グレースケールでひたすら塗ります。下書き&清書に比べるとやや単純作業です。


 6.本文:セリフ入れ(手書き文字含む)

 →「1.」のプロットで決めたセリフを入れていきますが、その場のノリでセリフをちょっと変えたりもします。
  手書き文字もこの工程で書きます(※手書き文字は結構時間が掛かります)
  ★ここで本文が完成です。


 7.表紙:オモテ【重要ポイント】


 →ここでようやく表紙を描きます。一番見栄えするところなので頑張るポイントです!
  表紙はラフ、下書き、清書、着色と一気に行うため、構図や本のタイトルもこの時点で考えるで大丈夫です。
  (※表紙のラフを残しておくの忘れたため下書きと完成形を載せます)


 8.表紙:ウラ
 →ウラ表紙は正直流し作業みたいな感じでサクッと仕上げるで良いと思います!!!
  見開きでオモテ表紙と繋がっている感じの絵でも良さそうです。


※全体ページ数について
→表紙が全体の1ページ目、表紙の裏(白紙となる)が全体の2ページ目、本文の1ページ目が全体の3ページ目…となります。
 これらをトータルした総合ページ数は、【4の倍数】となるようにして下さい。(※印刷時の都合)


※表紙と本文のどちらを先に仕上げるか
→私は本文を先に仕上げる派です。
 本文を先に仕上げる理由は以下の2点ですが、表紙を先に仕上げるのもアリかと思います。
 a.表紙を先に仕上げると本文を描くモチベが消失しそうなため。
 b.本文を仕上げてから(内容を全て確定させてから)の方が、表紙のイメージ・構図・タイトルも思い付きやすいため。


---------------

■原稿の描き方、用紙、サイズ等について
まだまだ私も知らない事がありますが、なるべく簡潔に書いてみます。既にご存知の方は読み飛ばして下さい。

 ・サイズについて

 B5サイズの本(左)、A5サイズの本(右)、大体この2つのサイズがメジャーなものかと思います。
 千円札は比較用で置きましたが、詳しいサイズ数は検索して下さい。


 ・原稿用紙について
 ペイントツールのデフォルトで選べたり(ClipStudioなど)、印刷所さんのページで原稿テンプレートがダウンロード出来る所もあります。
 また、ページ数全体を管理するツールもありますが、個人的には自分でファイル名で分かりやすく管理出来れば必須でないと思います。


 ・原稿の描き方について

 先ほどの表紙を例に説明しますが、3の「トンボ」だけ描かれているのが原稿の初期状態です。


 1.仕上がり枠
  (紙に出る)画像の赤枠の内側が、最終的に紙として出来上がるメインの部分です。 

 2.塗り足し枠
  (紙に出ない)画像の青枠の内側が、紙として出来上がりに含まれない部分ですが、出来上がりページの端が見切れる部分は赤枠の外まで描くと 
  最終的に紙で出来上がった時、端まで印刷されているようになります。 

 3.トンボ
  (紙に出ない)塗り足し、仕上がりのそれぞれの枠を目安として記したものです。この目安の線は必ず用意して下さい。 
 (※1~3は使おうとしている印刷所さんによって微妙に異なる事があるかもなので、あらかじめ確認して下さい)

 4.ノンブル
  (紙に出ない)画像の緑枠で囲った部分で、印刷物のページごとに欄外に記載したページ数を表します。確認の意味でも必ず書く必要があります。 

 5.原稿ファイルのページサイズ
  上記のように、原稿にはメインの部分以外にも「塗り足し」、「トンボ」、「ノンブル」が必要なため、 
  完成サイズより大きいサイズで原稿を描く必要があります。 
  完成系がB5サイズの本 = 描く時はA4サイズの原稿用紙の中にB5サイズのトンボを設ける 
  完成系がA5サイズの本 = 描く時はB5サイズの原稿用紙の中にA5サイズのトンボを設ける 

 6.原稿用紙の解像度
  画像における画素密度を表す数値です。とりあえず以下にするか、印刷所さんに確認して下さい。 
  本文(白黒) :600dpi 
  表紙(カラー):350dpi 

 7.原稿カラー設定
  カラーモードは以下とします。 
  本文はカラーモードで進めて(実際には白黒で描く)、完成ファイル作成時にグレースケールとするでも良いと思います。 
  本文(白黒) :グレースケール 
  表紙(カラー):CMYK(RGBではない) 

---------------

■作業スケジュールの立て方について
ここまでで作業工程を洗い出して再確認した所で、次は作業着手する前に全体スケジュールを見積もります。
この見積もりで重要なのは、自分が実際に可能な作業量を出来るだけ正確に把握しておく事です。

例えば休日に自由時間が10時間あった場合、体力やモチベ的にも10時間フルで原稿出来るとは思えません。
そのため、休憩時間(二度寝時間)、ゲーム時間、外出時間、食事関連、洗濯、お風呂など、生活時間も考慮した計画立てをします。

週に1~2日は作業を全くやらない休息日を設けるのも良いと思いますが、平日の地道な作業の積み重ねが重要なウェイトを占めると思うので、作業は休日のみというのは避けた方が良いと思います。

私の場合は大体、下書き1ページ=1.5~2時間、清書1ページ=1.5時間、トーン1ページ=1時間くらい、
セリフ1ページ=30分~1時間くらい(若干多めに見積もる)でスケジュールを考え、ここに印刷所さんの締め切りまでに更に余裕を持たせ、トータルした時間から逆算して作業を開始するべき日を決めます。

以下が私がある同人誌を作成した時の予定と実際の日付で、全体28ページの本で約2ヶ月かかりました。


上記は左側が予定、右側が実績でして、このスケジュールを考えた時の流れを書いてみます。
(※実際はゴールデンウィーク辺りに始めれば良かったと思ってます;)

(原稿やるとしたら漠然と3ヶ月くらいかな~と見積もる)
  ↓
 A:イベント開催日が【2019/07/27(土)】で、イベント申し込み締め切りは【2019/06/30(日)】。
  ↓ 
 B:印刷所さんのイベント合わせ入稿締切日が【2019/07/19(金)】である(※あらかじめ確認しておく)
  ↓ 
 C:原稿の完成は余裕を持たせ、印刷所締切の約2週間前【2019/07/07(日)】としたい。
  ↓ 
 D:完成予定日を【2019/07/07(日)】とした場合、自分が可能な作業量から見積もった予定表(仮)を作成する。
 上記の予定表をアバウトな数字で見積もります。
 本文下書きに必要な時間が48時間とした場合、平日1.5~2ページ、休日3~4ページとすると、大体平日*6+休日*4=48。
 つまり、平日5日のうち3日を作業日+休日2日をどちらも作業すると、下書きの予定は2週間となります。
  ↓ 
 E:作業終了日から逆算して見積もりの結果、遅くとも【2019/05/20(月)】からペンを握ってネームを始める必要がある。
  ↓ 
 F:となると【2019/05/15(水)~2019/05/19(日)】までにはメモ帳でプロットを完了させる必要がある。
  ↓ 
 G:妄想と決意は5月上旬までに固めて、そこからが実際のプロット作業開始日とする(←★ここが実作業開始日★
  ↓ 
 H:プロット作成後に【D:】である程度見積もった予定表を正確な予定日付に改め、正式な予定表とする。
  ↓ 
 I:イベント申し込み締め切りは【2019/06/30(日)】だが、作業がある程度進んでいそうな【2019/06/09(日)】前後に申し込む
 (※この時点で業務が忙しくなっていた場合や、作業の進捗的に完成が無理そうな時は、イベント参加断念も検討)

上記を5月上旬~中旬にかけて考えます。
D:】と【H:】の作業予定の見積もりと作成は、始めのうちは見積もりが上手くいかない事もありますが、経験で予定と実際の数値が近づくと思います。

イベント申し込みについて、原稿の下書きが半分くらい進んでると申し込む気も起きますが、先に申し込んで退路を断つ手もあります。
あとサークルカットを描くのは意外と時間が掛かるので、最初から作業スケジュールに盛り込むのがオススメです。

ここから先は、ひたすらスケジュール通りに作業を続けます。
自分で決めた余裕があるスケジュールですと、遊べる時間もあらかじめ設けてあるので快適です。
そして日々の作業完了実績を管理表に入力していき、予定と現在の進捗を常に比較します。

個人的に、この予定表は作った方が良いと思ってます。
これが無いと全ての作業量が不明瞭で立ち向かうにも途方も無く遠く感じるので、表形式に表して少しずつ牙城を崩していく感じです。

これらを進める「やる気」ですが、個人的には何もしない状態から沸くのを待つのではなく、行動し始めてから伴うものと思ってます。
実際に1ページ描き始めてみると良い感じに気分が乗ってきて、始めの方のページではペンが進まなくても後半の方では筆のノリも良くなると思います。

 ・それでも作業が予定より遅延してきた  
 →あらかじめ持たせておいた余裕を食い潰しつつ、作業完了予定日をリスケします。
  遅れても体力的な無理をしない事が重要で、当初の数値目標を達成すべく徹夜作業やエナジードリンクに頼る事はオススメしません。

 ・新作ゲームや、やってるゲームのイベント周回やりたい  
 →その時間も、あらかじめ作業スケジュールに盛り込んでおく事が重要です。
  私も原稿期間中は激しく遊びたくなりますが、スケジュールに盛り込んだ分以外は極力遊ばないようにしてます。

 ・イベント申し込み後の原稿期間中に業務が炎上した場合
 →今までそのような経験はありませんが、その場合はイベントは出るものの新刊は無しとします。
  ただ、最初のスケジュールを立てる時点でそれが発生する可能性を出来る限り予測をしておきます。

---------------

■最後に
色々書きましたが、同人誌作成で何よりも大切なのは【本として完成させる事】だと思います。
次点は【体力的な無理をしない事】でしょうか。

また、仕事で予定外の残業が入ったり、途中で「これ本当に面白いんだろうか」とか賢者タイムに陥る事も多々ありますが、実際に完成した本を持ってイベントに参加できると、やって良かったと思える気持ちの方が大きいと思います。

私が初めて同人誌を出した時は、上記の計画立てをせずにイベント4ヶ月前から漠然と作業し始めて、本文1ページを完全に完成させてから次へ進んだり、プロットも書いている途中に考えるなどしてました。
しかし同人暦2年目からこれらを継続してまして、実践してみると作業の進め方と先の予定も明確に把握できて、出ようと思ったイベントでは予定通り入稿&必ず新刊を出せているのがちょっと自慢かもです!

ちなみに私が初めて同人誌を出したのは28歳の時で、今も飽きずに10年以上続いてます。
同人誌に限らず物事を始めるのに早い遅いとかは無いと思うので、思い立った時が始める日です!

最後に、これらが少しでもご参考になりましたら幸いです~。
そして出来上がった同人誌は私にもちょっと見せてください!